竹野内碧

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竹野内碧

 他社での会合を終え、勇平運転の車で帰社する。助手席には秘書課の曽根法子だ。  今日はうちが準備するものが多かった事と、秘書課同士の勉強会が別室であったため彼女も同行していた。勇平と同い年の彼女は秘書課主任で、俺はもちろん上司に媚を売るような態度が全くないので、勇平以外の同行は彼女と決めており第二秘書のような存在だ。  車中から、まだ日の落ちきらない街を眺めていると 「桜子?」  喫茶店から少し離れているここで…歩き方おかしくないか? 「あのロングカーデの女性ですか?」 「喫茶店の?」  曽根と勇平が聞いてくる。 「ああ、降りる」  勇平が車を路肩に止めると、すぐにドアを開ける。同時に曽根も車を降り一緒に足早に歩きながら 「話によっては…女の方がいい場合もありますから…直感ですが」  勇平と同じく、俺のスケジュールを把握している彼女も喫茶店の桜子の事は耳にしている。 「場合によっては頼む」 「もちろんです、社長の想い人ですから」
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