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二人は勢いよくサンドイッチを食べると
「はぁ、やっと落ち着いたな」
と顔を見合せている。帰り際に橘さんが、そうそうと思い出したようにタブレット等が入っているであろう小さめのバッグを開けると一冊の文庫本を取り出した。
「これ、曽根さんが桜ちゃんにオススメらしいよ」
賢祐の‘過去の未来’を読みきれなかった私の好みを予想して自宅で探して下さったらしい。
「ありがとうございますと伝えてください。読んだら私から曽根さんに連絡します」
竹野内さんは私の頭に手を置くと
「急がないし無理もしなくていいよ。自然に何とかなるから」
そう言い一度ポンと手を置き直してから帰って行った。
マスターは
「桜ちゃんの知人友人が店に来てくれるようになって本当に嬉しいよ」
しみじみと言って下さり嬉しくも気恥ずかしい。週刊誌の騒ぎで心配を掛けていたので、あのあとマスターには賢祐と二人揃って事情を説明し、さらに賢祐は私たちの血が繋がっていないことも伝えた。するとマスターは、そういうことか…と呟き
「これからも二人一緒に仲良くやっていくということだね?」
と賢祐に尋ねた。はい、と彼が答えるとマスターは何も言わず深く頷くだけだった。そのマスターが
「今日賢祐くん迎えに来るかい?少し話がしたいんだ」
「来ると思いますけど…休憩時間に電話しておきます」
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