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西野賢祐
昼間に桜からメッセージがあると何かあったかと一瞬構える自分に苦笑する。マスターが話か…もちろん行くと答えた。
俺とゆっくり歩くリハビリ中の桜を何回か見るうちに、リハビリがてらアルバイトにおいでと声を掛けて下さったマスターと奥さんには感謝している。それに桜をとても可愛いがってくれて有難い。そう考えながら6時前に喫茶店の扉を開けるともうお客さんは2人組がいるだけだった。桜は洗い物をしているようでチラッとこっちを見て頬を緩め視線を手元に戻す。マスターが
「呼び立てて悪いね。冷たい方がいいかい?」
と聞いてくれるので
「迎えに来るので大丈夫です。珈琲は…はいアイスで」
とエアコンの効いた店内で深呼吸するように言った。
「ははっ、外は暑いんだね?ここにいるとわからないよ」
そう言いながらカウンターの中でグラスを手に取るマスターはいつも通り穏やかで桜と呼吸が合うのがわかると、今更ながら納得する。
お客さんが帰りcloseの札をドアに下げた桜にマスターが声を掛けた。
「お疲れ様、桜ちゃんも賢祐くんと座りなさい。二人に話があるから」
桜は頷きながらも不安そうに俺とマスターを交互に見てから俺の隣に座った。
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