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熱でぼーっとし目を閉じているが、首が太くなったと感じるほど喉も痛く眠れない。賢祐が私の汗を拭き、冷やし、付きっきりで隣に居てくれるのを気配で感じているが、目を開けるのも辛く、声を出すのはもっと辛い…ありがとうさえ伝えられない…こうして病院のベッドでも引っ越す前の家のベッドでも沢山お世話をしてもらったな…いつもしてもらってばかりだな…目尻から熱い涙が顔をつたい髪を濡らすのを感じ、ダメだ心配掛けちゃうと思ったが遅かった。
「桜?辛いね…」
賢祐が涙を拭いながら自分が辛そうに言うから、余計に涙が流れてしまう。彼は布団を捲り滑り込むと私の頭の下に腕を差し込み自分の胸に引き寄せた。あーもうダメだ…彼の優しさに涙腺は崩壊し、そのまま彼に包まれ意識を手放した。
何時間眠ったのだろう…目覚めた時には体の熱はマシに感じパジャマを着替えていた。隣に彼はおらずゆっくり上体を起こしスポーツドリンクを手に取ったところへ、下着姿でバスタオルを肩に掛けた賢祐が入ってきた。
「桜、起きたね、どう?」
眠っていないであろう彼は疲れた表情を微塵も見せず私に尋ねる。私は精一杯頬を緩め、出来るだけ声を出す。
「もう大丈夫…ありがとう、賢祐」
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