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翌朝目覚めた桜は平熱に下がり喉が痛むだけになっていた。花火大会のことを話すと予想通り行きたいと言う。
「今日このまま熱が出なくて、普通に食事が出来るようになっていたらなんとか行けるな」
「うん…とりあえずお風呂入る」
一人で入ろうとする彼女を、頭がふらっとしたらどうする?と脅すように一緒に入る。二度シャンプーした桜は
「これですっきり治りそう」
と訳のわからない非医学的な事を言いながら本当にスッキリした顔をした。
「賢祐、洗ってあげようか?看病してくれたお礼に」
湿度の高い風呂で喉が楽なのかいつもの調子で言う桜にホッとすると同時に少し甘えたくなり、シャンプーを頼む。嬉しそうに了解した彼女はシャワー片手に俺の髪を濡らし丁寧に洗い始めた。気持ちいい…寝不足でパンパンに張っていた頭がほぐれていく。俺の好きな熱めのシャワーで泡を洗い流してもらうと、椅子に座る俺の斜め前に膝で立っている桜の腰回りに腕を回し、頬を彼女の腹に当て言う。
「ありがとう、気持ち良かった…寝てしまいそうだ…」
「あまり寝てないんでしょ?ごめんね…もう大丈夫…ありがとう」
「桜の大丈夫は当てにならない」
「ちょっと…賢祐…そのちょっとした髭がくすぐったい」
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