3946人が本棚に入れています
本棚に追加
何度も時間を確認しやっと桜の到着時間になった…が、なかなか彼女は来ない。もうひとつの改札へ行ったか?電話をかけようとした時、大きなスーツケースを押す桜が見えた。はっ?あの大きさ何?と思ったが、桜が下を向き話している様子で状況を理解した。大きなスーツケースを押し改札を通るのに手こずる彼女に
「桜、かして」
声を掛けこちらからスーツケースを引いてやる。
「ありがとう、賢祐。ちょっと待ってね」
そう言う桜に、赤ちゃんを抱っこ紐で抱き小さな男の子と手を繋いだ女性が
「ほんまに助かりました。もうここまで両親が迎えに来るので大丈夫です」
とほっとした顔で言い、小さな男の子は泣き顔でバツが悪そうな顔をしていた。桜は、いいえと言い男の子にバイバイしてから
「お待たせ。お迎えありがとう」
と疲れを見せずにキラキラとした笑顔を俺に向ける。その頭に手を置き視線の高さを合わせて聞く。
「無事到着しただけでなく、人の手助けまでして俺の心配は無用だったか?」
「いえいえ、昨日までに耳に出来たタコが役立ちましたとも…ふふっ」
最初のコメントを投稿しよう!