3947人が本棚に入れています
本棚に追加
マミの受賞パーティーに桜と、そしてマスターと奥さんも一緒に出席した。竹野内さんたちは年末で忙しく来られないそうだ。この賞からは有名人が多く生まれており取材も入った大きな規模のパーティーだ。俺も数人の関係者と会い挨拶を交わした。その間、桜はマスターたちと飲み食いしてそれなりに楽しんでいるようだった。
「マミさんには会えないかもね」
「そうだな…まだ囲まれているな」
その周りから
「西先生」
と呼ばれ手招きされる。マミの経歴で出版社勤務時代に俺の担当時期があったということで話を聞かせろということだ。そこから思ったよりも話が長くなり気づいた時にはパーティー会場に桜がいない。スマホを確認するとホテル入り口のカフェで待つとメッセージが入っているのが1時間ほど前だ。急いでカフェに向かうと彼女は華やかなクリスマスのホテルに似合わない青白く無表情な顔でポツンと座っていた。
「桜…ごめん。マスターたちは?」
「1時間ほど前に帰られたよ。賢祐はもういいの?」
口調はいつもの穏やかなまま、だが顔色が悪い桜に
「終わった。桜…具合悪い?」
「ううん、大丈夫。ちょっと人酔いはしたかも」
最初のコメントを投稿しよう!