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彼女が両親を亡くした時とは俺たちの年齢も違えば関係も違うんだ。何も我慢することなく、頼って甘えて欲しい。
ベッドに入り仰向けの彼女の頭の下へ腕を通し軽く引き寄せると自然にこちらへ向き俺の肩口に額を付ける桜が愛おしい。体を寄せ背中を擦り…さあ、吐き出せ…
「パーティーって疲れるな…好きになれない…桜はどうだった?」
「…ちょっとだけ疲れたかな…賢祐…お疲れ様」
「誰かと話した?」
「うーん…マスターと奥さんとだけだよ」
「そっか…悪かったな、桜…少し仕事みたいになって付いててやれなかった」
「大丈夫…お疲れ様、おやすみなさい」
「ん…ちょっと疲れた…桜なんか話して…桜の声…聞きながら寝る」
「えーぇ…むかーし昔って言えばいいの?ふふっ」
クスクス笑う桜の額に優しいキスを落としぎゅうっと抱きしめ目を閉じたまま
「桜…話聞かせて…何があった?」
言わないと離さないと痛いほどキツく抱きしめると、彼女はたっぷり迷った末に、何もなかったと前置きしてから、やっとぽつんと吐き出した。
「私…賢祐の本を読み切れない事あるのは…好みとかでなく…単に私の語彙力とか…理解力の問題なんだろうね…」
俺の本?突然なんだ?
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