竹野内碧

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「私たち桜子さんより少し年上でしょうか?職業や育った環境など自分と違った人の話が役立つこともありますし、ここには男女ともいますのでそれぞれの感じ方や考えを持っています。それに…悩みとか困ったことって何も知らない人の方が話しやすい事ってありますよ?」  曽根はゆっくりと諭すように話し、勇平は 「もちろん話したく無いことは言わなくていいんです。苦しいことを吐き出すだけでもいいんですよ」  桜子はずいぶん思い詰めた顔をした後、口を開いた。  15歳の時に事故で両親を無くし、自分はその後3年間ほど手術入院リハビリが必要であり、その世話を互いにたった一人の親戚となった叔父がしてくれ、今も二人で暮らしていること。今日、いつまで彼に頼るんだ、彼を解放して、と言いに来た女性がいたこと。  朝の男が叔父か?とても若いが…  とても簡単に話したであろう彼女に声をかける。 「話してくれてありがとう、桜子。それは…俺たちが聞いても理解しきれない苦労が二人にはあっただろうし、本当にとても大切な叔父さんだよね。それで…今日桜子はどう思って家に帰らず、一人で歩いていたんだ?」
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