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西野桜子
「どう思った…」
竹野内さんたちには、事実のほんの一部を話した。賢祐と私が血の繋がりがないというのは、賢祐の幼少期を勝手に話せないと思い伏せた。竹野内さんの問いに続き、橘さんが口を開いた。
「そうです。いつものように帰れないという気持ちになったのは、どう思ったからですか?あー、桜子さん。丁寧に話してると尋問みたいだよね…これでいい?」
言葉を崩した橘さんに頷くと
「私もいい?」
曽根さんにも聞かれ答える。
「はい」
「きっと、いろんな事考えたんだよね…急に面識のない人に名前呼ばれるだけでホラーだもんね」
「順序だてなくていいから、考えた事、思った事、教えて」
竹野内さんに言われて思い切って話した。
「私、あの事故のあとリハビリが終わるまで叔父と二人の生活で、そのあと今の喫茶店が加わって…それだけの穏やかな生活で十分満足だってずっと思っていて、変化はもう…怖いだけですし」
3人を見ると真剣に聞きながらも、ピリピリする事なくゆっくりと話を促されている気になる。
「でももちろん、別々に生活しないと…自立しなきゃって考えたことも数えきれないほどあります。でも急に…知らない人に言われて…しかも…」
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