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目の前で見た誓いのキス。
……、卓也、長い、長いって!!
ワナワナと唇を噛みしめた。
「夏帆、良かったね。一生引き摺って行くのかと思ってた」
目の前の女子3人組が涙ぐみながら小声で頷き合ってるから。
ズキンと胸が痛んだ。
夏帆が何年も泣き暮らしていたのがオレのせいだってこと、自分が一番わかってる。
でも、どうしようもできなくて。
そんな時、卓也と再会したんだもんな。
なんで、卓也なんだよ! と思ったのは一瞬だけだった。
だってアイツすげえ優しいもん。
夏帆と一緒に、オレのこと考えて泣いちゃうくらい優しいやつでさ。
高校時代も本当は夏帆のこと好きだったんだろうな、って気づいてた。
オレが先に好きだなんて言っちゃったから、アイツは遠慮したんだろう。
そんぐらい優しいヤツだから。
ありがとう、卓也。
夏帆のこと支えてくれて、幸せにしてくれて。
オレの分まで頼むわ。
いや、頼まれなくてもきっと幸せになるよ、オマエらは。
「新郎新婦退場です」
開いたドアの外で先に待機させられて二人を待つ。
見上げた空は、あの日みたいに真っ青な色をしていて。
ひらひらと舞う桜の花。
――ああ、そうだ。
あの日、夏帆を待たせ過ぎたから、オレは振られたんだっけな。
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