世界中の誰よりも

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 懐かしい顔ぶれに目を細めた。  いつぶり? 高校以来か。  なあ、知ってる? わかってんだろ、オマエら。  今日はオレにとって最悪で最高の日だって。  笑顔の参列者の中で、きっとオレだけは仏頂面だ。  元カノと親友の結婚式に参列した。  教会の片隅、同級生たちと並んで座り新郎である卓也の背中を見守る。  オレからの痛いほどの視線を感じたのか、振り返ってキョロキョロしてる。  相変わらず落ち着きのないヤツ。  もっとシャンとしとけ! 「アイツ、緊張してんじゃん」  隣に座った高杉のからかうような苦笑に相槌を打つ。  そうなんだよな、昔から緊張に弱い。  悔しいなあ、なんでそこに立ってんのがオレじゃないんだろう。  ここにいるやつらの大半もそう思ってんじゃないの?  遠慮してか、オレと夏帆が付き合っていた過去に、皆が口を(つぐ)んでいるようだ。  そんな同情しなくてもいいじゃんな。  オマエ、振られてやんのって笑いやがれ!  お察しの通り、今も未練タラタラですけど、何か?  (おごそ)かなパイプオルガンの入場曲が流れると、後ろのドアが大きく開いた。  真っ白なウェディングドレス姿の夏帆が親父さんにエスコートされて歩いてくる。  真っすぐに前だけ、卓也のことだけを見つめて。  ヤバイな、涙で曇るんですが?  夏帆、めちゃくちゃキレイだ。  ベール越しでもわかる、美しい夏帆の横顔に甦ってくる想い出たち。
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