145人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
会社近くのカフェレストランで、私は真由に凝視されながらパスタを頬張る。
「らにほぉらいってら。」
「はい?」
可愛らしい顔を惜しげもなく般若顔に変形させて真由が聞き返す。私は口の中のパスタを飲み込み、水を一口飲んでから改めて宣言する。
「何もないってば。」
「またまたぁ。対戦相手ってなによ?誰を想定しての質問よ?」
ニヤニヤしながら、真由が聞いてくる。
うむ、困った。
真由が香田と同じことを考えているのか聞きたかったけど、そもそも香田の思考をどう知ったかを話せない以上、真由にも聞けない、ということを忘れていた。
もうここは、
田島って私のこと好きだと思う?
ってド直球に聞く?聞いちゃう?
いや、ダメでしょ。イタイ人になっちゃうでしょ。
悶々としながら、私がまたパスタを口に運んでいると
「じゃ、とりあえずどっち?佐々木?田島?」
と真由が聞いてくる。
「どっちとは?」
「今日、何もないけど話たかった話は、佐々木のこと?田島のこと?」
「あぁ・・・ええっと、田島。」
「きたぁっ!田島きたぁ!」
真由が両手で口を押さえて目を輝かせる。
仕草も見た目も可愛いけど、発言は競馬場のオヤジそのものだ。
「で、田島がどうしたの?」
真由が、大きな目をキラキラさせて身を乗り出す。
「・・・真由、楽しそうだね。」
「うん、楽しい!で、田島がどうしたの?」
悪びれないなぁ。でも、そこが可愛いぞ、わが友よ。
「いや、田島がどうかしたわけじゃないんだけどさ。」
「うん、うん。」
「ただちょと、ほら、なんていうかさ。」
「うん、うん。」
「なんかこう、田島がさ、田島だしさ。」
「はい?」
再びの般若顔。
いや、ごめん、お怒りごもっとも。歯切れ悪すぎですよね。
私は頭を抱えてうーーーんと、唸る。
最初のコメントを投稿しよう!