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「ん。」
私は、ポテトをくわえたまま、残りのポテトを田島に向ける。
「お?いいの?いただきまーすっ。」
田島は4~5本抜き取って嬉しそうに頬張る。
「職場でハンバーガーとポテト食うやつ初めて見た。社会人としてどうなの?」
「嬉しそうにもらっておいて。昼休みだし、ラウンジだし、問題ございません。」
私は"少しお裾分け"のつもりだったのに、田島は"もうこれは俺のもの"とでも思ったのか、遠慮なくどんどんポテトを食べていく。私も負けじとポテトに手を伸ばし、しばしポテト食い競争の時間となる。
「ん?なにこれ?なんかの勝負?」
ポテトをくわえたまま、私と田島が声の主を見上げる。今日も見目麗しい同期の星、佐々木勇佑が立っていた。
「いんや、こいつが俺のポテトに手を出している。」
「私のです。」
私は威嚇する猫さながらにシャーっと田島を睨む。
「相変わらずだな。」
佐々木が笑いながら、私の隣に座る。
おっと、しまった。と思ったけれど、時すでに遅し。
<またじゃれてる。もっと早くくればよかった。>
佐々木の声が私の頭の中に響く。
<田島、いいな。>
・・・おふ。拗ねてらっしゃる。
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