146人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
「ごめん、なんか頭の整理がついてなくて。」
「なんかあったから、混乱してるんでしょ?まずはそれを教えてよ。」
「うーーん、田島と何かあった、とかではないんだけどさ、何ていうか、田島って結構分かりやすいじゃない?」
「うん。思考ダダ洩れだよね。」
「え?」
真由も能力あるの?と私は口をあんぐり開ける。
「分かりやすすぎ。誰がどう見ても分かる。」
あ、聞こえてるわけじゃないのね。
「なのに百合は全く気が付かない。百合は結構モテるから、敢えて気づいてないふりしてるのかなぁと思ったこともあったよ。でも、見てたら本ッ当に気づいてないみたいだし。結果、なにも進まない。何この耐久レース?ダダ洩れVS鈍感?」
「・・・なんか、すみません。」
すごい勢いで話す真由に気おされ、思わず謝ってしまう。
「でもやっと気づいたんだね。この戦いにもついに終止符が打たれるわけか。いやー長かった。」
真由が満足気に頷くと、パスタを食べ始める。
「付き合うの?」
「誰と?」
「田島と。」
「え?なんで?」
「はい?」
三度の般若顔。
「え?告白されるの待つ、とかじゃないよね?4年も告白しなかったモジモジ君だよっ?百合から言わないと一生付き合えないよっ?」
「え、いや、そうじゃなくて。」
「えっ?あ、断るほう?あぁ!じゃ、佐々木か!佐々木と付き合うんだねっ!同じモジモジ君でも、やっぱ最後は王子かぁ!」
真由が、ポンッと両手を合わせて目を輝かせる。
私はフリーズ状態で真由を見つめる。
数秒間、見つめ合った後、真由の表情が変わる。
「え?え??気づいたんでしょ、田島と佐々木が百合のこと好きだって。」
「いや、そう・・・ではなかった、かな。」
佐々木のは4年前から知ってたし、田島については間違いだと思います。
「うっそっ!!」
真由が大声を上げて立ち上がる。
「え?私バラしちゃったっ!?うわぁっ!どうしよう!佐々木っ、田島っ、ごめんっ!」
天に向かって手を合わせる。
「二人ともまだ生きてるから。せめて地平線に向けてあげて。」
「はぅぅ・・・。」
真由が涙目で私を見る。
最初のコメントを投稿しよう!