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私には、特殊な能力がある。
人の心の声が時々聞こえてしまうのだ。
物心ついた時には聞こえていて、それに反応してしまうたびに、驚かれたり、いぶかし気に見られたりしていた。
信じてくれたのは両親だけで、能力との上手な付き合い方を見つけよう、と言ってくれた。
両親と色々試してみた結果、私が聞こえるのは、自分に向けられた想いだけで、なおかつ、相手がごく近くにいる時に限られているようだった。
人間は、結構、辛辣な生き物だから、この能力のせいで挫けそうになることも多々あったけれど、年齢を重ねるごとに、人は案外、他人のことなんて考えていない、ということも分かってきた。
目立たず、余計なことは言わず、当たり障りのない人付き合いをしていれば、強烈な感情を向けられることはそうそうない。暗すぎたり、大人しすぎたりしても、それはそれで、いじめ体質の人たちに絡まれるので、ザ・平均!をキープするのが、いまや私の行動基準になっている。
それでも、時々、私への想いが強めの人が現れる。それが悪意にせよ、好意にせよ、そういう人には近づかないようにして、27年間、割と平穏無事に生きてこられた。
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