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7
目が覚めると、田島に頭を撫でられていた。
私のとなりに横向きで寝そべり、肘をついた片手で頭を支えて、もう片方の手で私の髪をいじったり、撫でたりしている。
「おはよう。」
「おはよ。体、大丈夫?」
「うん。多分。」
<百合、初めてなのに2回やっちゃったからな。>
<止まらんかった。すまん。>
私は手を伸ばして、田島の頬に触れる。
田島がその手を捕まえて口づけする。
幸福感が胸に広がる。
「大好き。」
思わず気持ちが口から漏れる。田島がこちらを見て微笑む。
<3回目、いけるかな?まだ無理かな。>
ごめん、まだ無理。なんか股関節カクカクしてる。
<さすがに、まだ無理だよな。>
私はホッとする。
それから小一時間ほどベッドの中でダラダラと過ごし、空腹に負けて起き上がった。
田島が覗き込んだり、茶々をいれたりするのをあしらいながら簡単な食事を用意し、二人で食べたあと、じゃれ合いながら片付けをして、その後は、紅茶を淹れてぼんりやりとテレビを眺める。
今日、自分史上最高の日かも。
「なあ。」
呼ばれて、そちらを見るとベッドに寄りかかって座っている田島が、自分の横を指差している。田島のここ空いてますよ、とでも言いたげだ。
昨晩からくっつきっぱなしで、心の声も聞きっぱなしだった。少し後ろめたくなってきて、離れて座っていたのだけどれど、そんな風にお招きされたら断れません。ニヤケ顔でスススッと田島の横に収まると、肩に腕を回され、きゅっと引き寄せられる。
はぁー、幸せすぎる。
<そんな嬉しそうな顔されると、こっちまで嬉しくなるな。>
だだ漏れでしたか。恥ずかしや。
<これからは休みの日はこうやってずっと一緒にいられるんだなぁ。>
<平日も、時々仕事終わりに飯食いにいったりしたいな。>
<もう理由がなくても誘っていいんだよなー。すげーな。>
本当だ。その通り。
今までも仲は良かったけど、定時後や休日に誘うにはそれなりに理由が必要だった気がするし、お互い頻繁には誘わなかった。
お互い好意を持っていると確認した途端に、仕事以外の時間を共有するのが当たり前になるんだ。なんか不思議。でも、ムクムクと沸き上がる、安心感のような、満足感のような、優越感のような、なんとも言いがたいこの気持ちは、正直、悪くない。
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