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暑い夏がやってきて
あれ?
みんな背が 高くなった?
みんな大きくなった?
生き生きとしていて
きらきらと輝いていて
みんな とても素敵
わたしは 小さくて
花も咲かなくて
おひさまの光もつかめない
誰も 私を 見てくれない……
「そんなことないわ」
葉洩れ日の間から 声が聞こえた方を見てみると
一番に背が高くて
一番に輝いていて
一番に人気がある
みんなを元気にさせてくれる 眩しい花
「今はまだ みんな気づいてないけれど あなたはとても魅力的よ。それに 私とあなたは 似ているところもあるのよ」
「似てるなんて そんなことないわ。わたしと あなたは 正反対よ」
「私は あなたを知っている。本当に 羨ましくなるくらい あなたは素敵なのよ」
「………。」
「私は 今はこうしているけれど 寒さに負けてしまうの。けれど あなたは 大丈夫。その可愛い 葉を 大きくして 寒くて つらい冬を きっと乗り越えることができるわ」
わたしは 小さく 少なくなった 葉を少しだけ動かして 葉洩れ日に当ててみたけれど その葉の姿が悲しくて またすぐに戻してしまった
ひぐらしの賛美が響き渡る晩夏
「みんな 今日までありがとう。夏の間だけだったけれど こんなにも 輝けたことを うれしく思います。私は これから 眠ってしまうけれど "ひまわり" として花を咲かせられたことを 誇りに思うわ」
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