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「じゃあ、ハナ、明日もくるからね」
自分の身体よりも大きな傘を差す姿が、とても健気で何故だか安心した。
そこから祐希は、毎日のように公園へやってきた。
私も意識してだろうか、毎日そこにいた。
初めに縄張りとは言ってみたものの、本当はそこは私の居場所でもなんでもなかった。
でも、今は違う。
「ハナー、追いかけっこしようよ」
「ハナ、聞いてよ。今日さ・・・・・・」
「ほら、家の冷蔵庫にあったんだ。いっしょに食べよう、ハナ」
「こら、ハナ!返せ!それおれのお菓子」
『ハナ』
そう呼ぶ祐希の声は、とても心地よくて、温かみがあった。
君のことを、『祐希』と呼びたかったが、なかなかそうもいかなかった。
ごまかすようにして、笑顔で駆ける祐希を追いかけた。
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