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あれから何年経っただろうか。
祐希が私を訪ねてくる回数は、目に見えて減っていった。
何でも、最近は受験が忙しいらしい。
人生を左右しかねないだとかなんとか。
私は大きなあくびをして、いつも通り公園の隅に座っている。
受験が何だというのだ。
私には無縁で全く関係のない話だ。
私はそこでふて寝した。
「・・・・・・ナ」
「ハーナ、ハーーーナ」
懐かしような、そうでないような声がした。
目をあけると、長身の男性がいた。
私は嬉しくなって、彼に飛びついた。
「ごめんな。なかなか来れなくて」
ううん。いいんだ。
こうして、たまに頭を撫でてくれるだけで。
私は足を震わせながら、祐希に抱きついた。
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