自殺少女の願い事

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俺が高校時代に付き合っていた彼女は、変わり者だった。容姿は申し分ないし、勉強も得意、優しく子供好きだけど、急におかしな行動をする、そんな女の子だった。 俺は彼女の隣の席だった。転校してきたばかりの俺に、「困った事があったら頼ってね」と声をかけてくれ、微笑んでくれた。そのとたん、転校初日で緊張していた俺は肩の力が抜けた。なんて優しくて可愛い女の子なんだろうと思った。好きになったのは、この時だと思う。けど、彼女への周りの評価は最低だった。 「石茅(いしかや)君、佐藤さんだけは止めておいた方が良いよ。面倒だから」 休み時間、早速仲良くなってくれた同級生が忠告してきた。 「そうそう、平和な高校生活を送りたいなら、佐藤さんとは関わらない方が良いよ」 仲良くなってくれたもう1人もそれに同調する。 「何で?可愛いし優しいじゃん。あ、既に彼氏が居て、その彼氏が怖い人とか?」 俺の質問に2人は顔を見合わせて、そして首を横に振った。 「まあ、そのうち分かるよ」 2人はそう言い残して、自分の席に戻っていった。 俺は隣の席をチラッと見た。佐藤さん、君は本当はどんな女の子なんだろう? やがてチャイムと共に彼女は教室に戻ってきて、授業が始まった。 そして授業中に、俺は2人の言ってる意味を知ってしまった。
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