Incident occurred

3/7
前へ
/21ページ
次へ
『まさか、危害を加えられはしないだろう』そう言い聞かせながらも胸はドキドキだ。 『何処へ連行するんだろう?』と思ったら、私の連行先は別棟の化学実験準備室だった。確かに昼休みのこの時間、人気の無いこの場所は『イケナイ事』をするには打って付けだ。 一人が準備室のドアを開け中に入ると、他の二人に背中を押される様に部屋に押し込まれた。 『これは大分ヤバいかも』胸の中が不安で満タン状態になっていくのが分かる。 そして私の後ろでドアが『バシッ』と音を立て閉められると、その余韻が静まり返った部屋に嫌気が差すほど響いた。 三人が各々の表情を浮かべて目の前に立ち、六つの視線が私を刺す。 「A組の……真鍋やんな?」 聞き慣れない低音の関西弁に思わず心臓がキュッとなる。 「は、はい……」掠れる声で答えるのがやっとだ。 「三日前の昼休みの……あれは何なん?」 『……三日前?昼休み?え、私何かしたかな』 沈黙する私の代弁をする様に、もう一人が口を開いた。 「ちょっと、(あき)ちゃん。行き成り喧嘩腰に言わなくても……」 「澄香(すみか)、あの日はウチらの記念日やんか。あのテーブルだって三人の最初の場所やん。大事やないん?」 「そうだけど……」口籠る彼女の横で残るもう一人が一歩引いた様な表情を浮かべる。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加