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『まさか、危害を加えられはしないだろう』そう言い聞かせながらも胸はドキドキだ。
『何処へ連行するんだろう?』と思ったら、私の連行先は別棟の化学実験準備室だった。確かに昼休みのこの時間、人気の無いこの場所は『イケナイ事』をするには打って付けだ。
一人が準備室のドアを開け中に入ると、他の二人に背中を押される様に部屋に押し込まれた。
『これは大分ヤバいかも』胸の中が不安で満タン状態になっていくのが分かる。
そして私の後ろでドアが『バシッ』と音を立て閉められると、その余韻が静まり返った部屋に嫌気が差すほど響いた。
三人が各々の表情を浮かべて目の前に立ち、六つの視線が私を刺す。
「A組の……真鍋やんな?」
聞き慣れない低音の関西弁に思わず心臓がキュッとなる。
「は、はい……」掠れる声で答えるのがやっとだ。
「三日前の昼休みの……あれは何なん?」
『……三日前?昼休み?え、私何かしたかな』
沈黙する私の代弁をする様に、もう一人が口を開いた。
「ちょっと、曉ちゃん。行き成り喧嘩腰に言わなくても……」
「澄香、あの日はウチらの記念日やんか。あのテーブルだって三人の最初の場所やん。大事やないん?」
「そうだけど……」口籠る彼女の横で残るもう一人が一歩引いた様な表情を浮かべる。
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