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「もう、分かったから。……私も淋しかったって」
「おおっ?流石、我が親友!分かってるね~」言いながら、今度は人差し指で私の頬をグリグリ突いて来る。
「だ、か、ら。分かったって!もう弄るのはいいでしょ?!」
灯に弄られている最中、気が付くと机の横に誰かが立っている。その人は少し躊躇いながら話しかけてきた。
「あの……お楽しみの所悪いけど、いいかな」
「へぇっ……?」
「ふえっ……?」
二人揃って間の抜けた声を上げ顔を向けると、クラス委員長の滝下数衛がプリントを手に立っている。
「真鍋さん。これ、休んでいる間に配られたプリント。英語小論文の事前提出用の原稿用紙。自分の発表日二日前には先生に出してね」
クラス委員長の彼は、恐らく誰からも好かれるであろう笑顔を添えてプリントを差し出した。
「……は、はい。あの……どうも」伏し目がちに両手でプリントを受け取ると、灯が間髪入れずに私の背中を平手で叩いた。
「美里~。クラス委員長で成績優秀おまけに我が校屈指のイケメンの数衛様が気を遣ってくれてるんだよ?言う事無いの?」
「……うん。あの、あの……えと、ごめん」俯いて答えるのがやっと。もう自分の足元しか見えない。
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