Incident occurred

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こんな灯とのやり取りのお陰で、日々何とかモチベーションを維持(キープ)していた頃、平穏な時がずっと続く訳ではない事を知る、時は突然訪れた。 私は『ありがとう』を伝えられないだけで無く、極度の人見知りだった。灯以外と関わらない、そんな私の素振りを見て面白く思わない人達もいたらしい。 ただ、それに気付いたのは、に思わぬ呼び出しを受けた後――既に土壇場の状況になってからだった。 その上、それは唯一の味方――灯が親戚の法事で学校を休むという、最悪のタイミングでやって来た。 呼び出して来たのは同学年、二年生の女子三人組だった。昼休みになってすぐ、教室の入り口に佇み、こちらを見詰める視線を感じた。そちらをチラ見すると、あまり見覚えのない顔が3つ。 三人と視線が合うと、その内の一人が手招きをしてきた。『手で招く』と言っても、それをしている当人の表情は、お世辞にも『好意的』とか『友好的』と言った言葉からは掛け離れている。 『気付かぬ振りで逃げる』という選択肢を失った私は、諦めて大人しく三人に連行された。
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