会合

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会合

 後日、エリオット様に呼ばれて、城の中にある応接室へ行くと、部屋の中にはエリオット様の他に、ライナス様とオーベル様がいた。事件の話だろうか‥‥‥。そう思いながらも、挨拶をしてエリオット様の隣に腰かけた。 「さっそくですが、アイリス様。今回の事件についての詳細は、他の者に伏せていただきたいと思っております」 「昨日、エリオット様から伺いましたわ。犯人が見つかるまでは情報を流さない方がよいと」 「どこに犯人が潜んでいるか分かりません。アイリス様もお気をつけください」  ライナス様との話が終わると、オーベル様は困りきった様子で話を切り出した。 「今回の件につきましては、私どもが対応させていただきます。陛下や宰相閣下は『聖女様の件』で、今のところ手一杯といった様子。今回の件は私、オーベルとライナスが調べるように仰せつかっております。アイリス様には、できる範囲でご協力をお願い出来ればと思っております」  (そういえば、教会と騎士団の仲が前にも増して、悪化しているという噂を聞いたわ。まだ揉めているのかしら)  今までは、救世主である聖女が見つかった場合、教会で保護する決まりになっていた。昔は神に操をささげ、国のために一生を尽くすという存在だったが、そんな古い考えに囚われる人は、今となっては、ほとんどいない。前司教様が亡くなって新しい司教様になった途端、教会は変わってしまって、黒い噂ばかり聞くようになった。  だから、今回の聖女様は城の騎士団が保護して活動している。国と教会の間で、もともとあった小さな溝が、その事がきっかけで、さらに仲が悪くなったとも聞いている。  「聖女様は汚れている」と吹聴したり、魔術具を新人の魔術師になかなか貸さないなど、地味な嫌がらせや、やり取りがずっと続いているみたいだった。  その件と、今回の事件は関係が無いとは思うが、教会の仕業ではないのかと勘ぐる人が出てくるだろう。  私がいてもいなくても、たいして役に立ちそうに無かったが、頼まれれば断りづらい事、この上なかった。  私は扇を広げ、口元を隠すとチラリとエリオット様のいる方を見た。一瞬、怪訝な顔をされたが、私の意図に気がついたのか頷いている。エリオット様が首肯されるのであれば、仕方がない。私は扇をパチンと閉じてから言った。 「どれだけの事が出来るか分かりませんが、協力させていただきますわ」
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