行きつけの本屋と幼馴染

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行きつけの本屋と幼馴染

クラスメイトと近くの行きつけの本屋に行ったら… 「お前、何やってるの。」 幼馴染がBL本を盗んだ容疑で捕まっていた。 「りっちゃん〜助けて…」 「その呼び名で呼ぶな」 そう俺が突っ込んだ途端お店の人が詰め寄って来た。 「保護者の方ですか?」 「いえ、単なる幼馴染です。」 そうは言ったもののどうするものか。 俺と美里は二年前からある秘密を共有していた。 「亮…どうする?」 今、話しかけて来たこいつは俺にとって単なる男子友達ではない。 俺は二年前からこいつにひそかに恋を抱いている。 が、それは親にバレてはいけない。 だから美里にバラすつもりも全くなかった… が、忘れもしない夏休み初日。 本屋のレジの前で俺らはバッタリ鉢合わせた。 そう。それぞれのお目当ての本を大事そうに抱えて。 因みに俺は 『ゲイでも好きな人に振り向いて貰える!』 美里は 『今流行りの漫画の二次創作BL』 とか何とかいう内容の本だったと記憶している。 俺らは同時に叫んだ。 「何でここに居るんだ!」 「何でここに居るのよ!」 そしてなんやかんや言った挙句、親に反対しかされないこんな秘密を抱えた俺らは同盟を結んだ。 「お互いの秘密を隠し合い、バレそうになったらフォローする」と…。 さて、どうしたもんかなぁ。 幼馴染は涙目でこちらを見てくる。 俺は目で『本当にやっていないのか』と問いかける。 美里はブンブン首を振り、俺が首を傾げると後ろから澄んだ声がした。 「彼女は盗もうとしたんじゃありません。」
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