開花宣言

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『今年もサクラが開花しました』  テレビから流れるアナウンサーの声に、タカシは喜んだ。 『去年より3日早い開花となりました。都心にお住まいの方は――』  突然チャンネルが変えられた。タカシの父だった。政治討論の番組にしたところで、リモコンをテーブルに置いた。 「今年も咲いたのね。嫌になっちゃう」  母が深いため息をつく。 「またしばらく休みになるみたいだ」 「そりゃそうよね、そもそも通勤できないもの」  暗い表情の両親を横目に、タカシはワクワクしながら朝食を済ました。去年と同じように、きっと学校も休みになるだろう。  番組の議題が変わり、都心を覆うほどの巨木が映し出された。それがサクラだった。  司会者が画面越しに語りかける。 『銀河系α国との国交が開始され2年になります』 『友好の証としてα国のサクラが植樹されましたが、巨大な花弁が降り積もり首都機能が停止することが問題視されています。政府はどのような見解なのでしょうか』
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