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森下さんだった。
「失礼します。今日は院長先生の回診がありますので一応お知らせに来ました」
院長が来るとは思っていなかった。やはりまさなりさんの影響が大きいのだろう。
「すぐですか?」
「20分くらいだと思いますが前後するかもしれません」
「着替えたかったんです。間に合いますね?」
「間に合いますよ。でも回診のためだったら気になさらなくても」
「着替えるつもりだったんです。ちょうど良かった」
森下さんの笑顔は可愛らしい。えくぼが魅力的だ。
(男性は放っておかないだろうな)
でもそんなことを口にしたら大変なことになるだろう。きっとジェイは大泣きする。なんだか今日の自分は口が軽そうだ。
「ほら! さっさと着替えさせてくれ」
回診と聞いて、ジェイもすぐに動いた。
「明るい色にしようよ!」
「どれだっていいよ」
「きっといい結果になると思う! この緑色のは? 明るいし木とか葉っぱとか」
「まるでアロハシャツじゃないか! そんなの着ないからな」
「じゃ、こっちのチェックのは?」
「目が痛くなりそうだ。普通のは無いのか?」
「普通って……」
とうとうベッドから降りて自分で見た。
「これにする」
濃淡のブラウンが味わい深い色合いとなっている。それに着替えるとジェイがホケッと蓮を見ていた。
「どうしたんだよ」
「蓮って素敵だね。そう思ったの。モデルみたい」
カッと顔が熱くなった。
「ばか! なんてこと言うんだよ」
「だってホントにカッコいいんだもん」
(拳骨したいんだか頭撫でたいんだか分らん)
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