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舞を日曜に拘束をすることを提案してきた人の態度とは思えない。
しかも、きっとあれは譲なりの舞に対する告白だったはずなのに。
「はぁ……。しかたないですね。譲さんの面倒をみれるの私くらいですもんね」
「でも、俺のこと好きだろ。これで最後だと思って泣きそうな顔してたし。それに、仕事中、俺のこと覗き見してただろ。見て見ぬふりしてたけどさ。好みなんだろ、俺のこと」
――バレてた。
隠してたはずなのに。
なんで、日常生活がだらしなくて、嫌なことをズケズケと言う男のこと気になっちゃったんだろう、と自分の男を見定める目が悪いことに肩を落とす。
「もぉー、ほんと最悪」
「もう6時半じゃないか。じゃあ、望みを叶えるために恋人たちの甘い時間を過ごそうか」
譲は、舞を抱え立ち上がった。
そして、一度も舞が開けたことの無い寝室のドアを開けて中に入ろうとした。
「嫌です! ベッド、一回も掃除してないし、布団も干してないんですよ? 絶対譲さんの寝汗でシーツ湿ってます! 不潔ですってば」
拒否権を発動すると言い放ち、バタバタと足を動かしながら舞は譲の腕の中で暴れた。
「心配するな。大丈夫だって、すでに俺が出てから4時間もたってるし、乾いてるから。それに、一応布団はめくっておいたし」
「あぁー……。体が汚れる……」
「ほら、暴れるなよ。これから一緒に汗流すんだし、変わんねぇだろ」
「一緒じゃないです。じゃあ、来週は寝室のシーツとか色々洗いますからね。終わったら、シャワー浴びますよ?」
「あぁ、ご自由にどうぞ。仕事の鞄とか、持ち物とか見られないように寝室に隠してたけど、もうその必要はないからな」
舞の悲壮感漂う声と対照的に、譲は面白いおもちゃを手に入れた子供のように無邪気に笑っていた。
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