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皆の説明で事態を把握したハートは、道化師の傷の止血をし、手錠をかけ、ヘリコプターへ連れて行った。
道化師は何も言わず、不気味な表情のまま、左足を引き摺って歩く。
「……待ってくれ」
ジャックが彼を呼び止めた。
「……お前さんは、腕っぷしが強く体も頑丈だ。斧の使い方もうまい。またワシらの所に戻ってきて、薪割りを手伝ってくれないか?」
エースも頷く。
「そうよ!待ってるから!絶対に、帰ってくるんですよ」
他の者達も、道化師に優しく声をかける。
「きっと、僕達みたいに変われますよ」
「……ありがとう」
道化師は、振り向かずにそう言った。
トランプ夫妻には、誰も敵わない。
二人は道化師の帰りを待ちながら、たいそう長生きしたそうだ。
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