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路上には転々とごみが出されている。そのすべてを回収しなくてはならないのは分かる。でもごみが散らかっているのはここだけではないのだ……それこそあちこちでカラスが突いて汚物が散っていた。
「ごみを出す時間のルールを守らなくて散らかったのなら、そのごみを出した人が掃除するきまりなんじゃないの?」
「そうだけど……汚いの反対のことばは分かる?」
「えっ……汚いの反対のことば?それはきれいかな?」
「そう。僕はきれいなのが好きだから」
「分かったわよ……手伝うから私のごみを探してください。お願いします」
私がしぶしぶ……って感じで頭を下げると、彼はにこっと笑った。自分の仕事を邪魔されているくせに、こんなに嫌々ながら頭を下げる感じ悪い女に対して向ける笑顔じゃないよ。天使みたい……心がきれいな人は笑顔もきれい。私はそのことを経験で知っている……ゆたかがそうだったから。
からすが荒らしたごみを手で拾い集めていると、袋に押し込まれていた汚い物が嫌でも目に入る。
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