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ここなら女子と比べられずに済むと思ったのに。男だらけの飢えた狼達の中でいつの間にか、自分が女子の代用品とされていることに気づかされてしまった。
女子のいない閉鎖空間で、幾らか女子っぽい生徒は、揶揄いまじりに持て囃されるのだ。何となく特別扱いをされる。姫みたいに持ち上げられるのは悪い意味じゃなくて、可愛がられたり優しくされたりすることの方が多い。それに甘んじてしまえばイージーな6年間が送れるともいえた。
だが、僕にとっては、またしても、ここでもか、という思いだった。女子ではないことを思い知らされる6年間。所詮代用品でしかないから、実際に付き合いたいのは本物女子だし、合コンは男同士のどんな約束よりも優先された。
そう、結局僕は不完全なのだ。男子でもなく女子でもなく、どっちつかずのコウモリで、どこに行けば楽に息が出来るのだろうかと溜め息しか出てこない日々。
周りはどんどん第二次成長期を迎え、背が伸びて声変わりしてオトコに近づいていってるのに、僕ときたらまだコドモのまま。祖父や父親も線の細いタイプだったが一目見て男性だと分かるほどには男性性を持っていたから、早く僕もそうならないだろうかと、成長期を心待ちにしていた。
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