黒と白

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中学も二年生になった初夏。うちの中学にも教育実習生がやってきた。当然うちの卒業生で、男の人で、某有名私大の四年生だった。偶然にも、担任の元教え子だったということもあり、僕たちのクラスを受け持つことになった。 背が高くて、イケメンで、ガタイもよくて、サッカー部出身で、ほんの数年の違いでこんなに変わるのかと思うほど大人のオトコの人だった。 いかにも勝ち組なタイプ。実際に教師になりたいわけではなく単位と資格目的なのが見え見えだったが、気さくで明るく、頼れる兄貴みたいなポジションをするりと獲得してしまうくらいには要領よく世慣れた感じだった。 クラスメイトたちからは概ね好意的に迎えられていた。自分から話しかけにいく奴らもいた。いつも人に囲まれている、クラスの人気者ってところか。何にしろ、僕には関わりのない人種だった。 だが、センセイはちょくちょく僕に声をかけてきた。初日の日直がたまたま僕だった、ただそれだけの縁だったが、授業に必要な荷物を準備室から運んできたり、職員室にあるプリントをクラスで配ったり、そういうたわいもない雑用をよく任された。正直面倒だったが、点数稼ぎにちょうどいいかと諦め半分、素直に従っていた。どうせすぐいなくなる。
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