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日常のすぐ裏に潜む危険や恐怖が脳裏にちらつくようになってしまって、不安で仕方なかった。いつでも最悪の事態がすぐ側で待ち構えているのではないかと思うと、何をしても恐かった。どんなに嬉しいことも楽しいことも、すぐに壊れてしまう脆いガラス細工みたいに見えて、心がすくんだ。
それ以来、服を干して取り込むときはいつも、嫌というほど叩いて何も出てこないことを確認してからじゃないと、取り込めなくなった。
今でも服を着るときには、ちらりと中を覗いて異常がないことを確かめないと袖に手を差し込めない。完全なトラウマだった。
馬鹿馬鹿しいとは分かっていても、そうせずにはいられない。そして、たった一度の出来事が、その後の人生を百八十度以上変えてしまうことを、僕は人生のとても早い段階で身をもって知ってしまったのだ。
そして、第二の転機が訪れる。
まるでアナフィラキシーショックのように、それは僕の心を刺した。
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