見間違い

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「え?なに?」 何かを知っているか?と聞かれたことは分かったが、その単語に聞き覚えがなかった。知らない単語に首を傾げると、その人は更に近寄ってきて、もう一度訊ねた。 「    って知ってる?」 そう言って、笑顔を張り付けたまま僕の肩をいきなりガッとつかむと壁に押しつけて、もう片方の手で口を塞いだ。 恐怖だ。また、突然思いもよらない事態が起きた恐怖に、身体が硬直した。悲鳴をあげることすら出来なかった。 すると、その人は僕の肩から手を離し、勢いよく僕のズボンをグッと下に引きおろした。 ありえない場所でありえない部分を晒された。その事実が更に恐怖を上乗せした。だが何よりも僕の心を刺したのは、その人が舌打ちまじりに吐き捨てた一言だった。 「…チッ、男かよ」
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