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「そんなん、契約結婚って時点で不思議すぎる思考でしょ。変人なのよあの人は」
私には理解できない、とばかりに麻里ちゃんは口を尖らせた。麻里ちゃんは普通に恋愛をして普通に結婚した人だし、こんな形の私たちが不思議でしょうがないだろうなあ。
カレーを次々口に運び、すぐにおかわりをしに行った私に麻里ちゃんは言った。
「その愛人から逆恨みされたりとか大丈夫なの?」
「一応契約書に、そういったトラブルは一切起こさない、起こした場合即契約解消って書いてある」
「すんごい契約書ね……どんな人なの、愛人って」
お玉を持っていた手をふと止まる。そういえば、どんな人なのかなんて全然知らない。
シングルマザーって聞いてたけど、何歳だとか、どんな人なのかとかまるで聞いたことがないのだ。
「聞いたこと、なかったなあ。平日も帰り遅いこと多いし、多分その人と会ってるんだと思うけど……」
答えながら、なんだか猛烈に気になってきた。
思えば、あの性格に難アリの男がそんなに入れ込む女ってどんな人なんだろう。巧が恋をしてるって、全然想像つかない。
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