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コントローラーを握りながら麻里ちゃんは目をキラキラ輝かせて画面を見ている。どうやら旦那さんは麻里ちゃんの趣味について理解してくれているらしいが、なんとなくこっそりプレイしているらしい。浮気してる気分になるとか。二次元への気持がガチすぎるゆえの悩みだ。
「ああ、いい! すごくいい!!」
「ね? たまらないでしょ……?」
「はあ、杏奈さすが、最高……」
「ここ、ここいいから」
「ああ、ちょ、最高、ひゃあ、最高だ……!」
うっとりと麻里ちゃんが呟いた時だった。廊下でガタン、という音が耳に入ってきたのだ。
私たちはオタク会談をピタリと止めて顔を見合わせる。
「なんか、聞こえた?」
麻里ちゃんが心配そうに呟く。私は頷いた。
時計はまだ昼過ぎだ。巧はこんな時間に帰ってきたことはないし、泥棒が入るには明るすぎる。いや、普段仕事で人気がないからこの時間に入り込んだのか?
私はすぐに立ち上がった。そして怯むことなく、部屋の扉を勢いよく開けたのだ。
「え、うそ?」
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