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納得行かなそうに麻里ちゃんは眉を下げる。まあ、いいところもある、とは思っている。腹黒いけど律儀なところもあるなあって。
……だけどさあ。私は部屋に貼られたポスターを見る。
「オーウェンと比べたら月とすっぽんで」
「そ、そりゃそこと比べたらさ……」
「それに、他の女好きな人なんてあえて好きになってどうすんのよ」
「それもそうか……愛人いるんだもんね」
しおしおと麻里ちゃんが小さくなった。多分、麻里ちゃんは私に三次元にも興味を持って欲しいと思っている。
だが残念ながら、巧はすでに他の女のものだ。戸籍上は私の夫だけど、それは形だけの婚姻関係にすぎない。
「そういうこと。まあ、いいお友達ぐらいにはなれるかもね。ほらー続きしようよー」
私が笑いながらコントローラーを差し出すと、麻里ちゃんが渋々受け取った。それはどうも、納得していない。そんな顔だった。
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