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「従姉妹は帰ったのか」
しばらく経って麻里ちゃんを外に見送りにでた後、リビングに入ると未だスーツ姿の巧がソファに座っていた。
「うん帰った。ごめんね、突然呼んじゃって」
「それは全然構わない、だが次からメールしといてもらえると助かる。変な事を考えてしまったから」
「あはは、麻里ちゃんが私の彼女ってね〜」
冷蔵庫に向かい中から飲み物を取り出す。グラスに注いでいると、巧は未だ自分が犯した勘違いに落ち込んでいるのかため息をついて天井を仰いでいた。
そんな彼の隣に腰掛け、笑っていう。
「大丈夫、麻里ちゃんは元々私たちの事情知ってたからさ。巧が勘違いするのも無理ないなーって言ってたよ」
「まさか親戚だったとは……」
「そんな落ち込まなくても。麻里ちゃんってほんとすごくいいお姉さんでね、信頼してるから。いつかもっとゆっくり会えるといいねー」
そう言いながらお水を口に入れると、巧がやけに真剣そうにこちらを見ているのに気がついた。
「何?」
「いや、ゆっくり、会えるといいな」
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