何かが変わる

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 隣から声が聞こえてくる。見れば、一つ年下の河野さんだった。ロングヘアーの髪を揺らしながら彼女はキラキラした目で私を見ている。  新婚、って、形だけだからね。なんて言えるわけもなく苦笑する。 「普通そんな浮かれるもの?」 「ですよ〜! 惚気とかも全然聞かないし、私高杉さんから聞きたいですよ!」 「はは、惚気ねえ」 「相手はあの藤ヶ谷副社長だっていうし……知らなかったから私ショックでしたよ。教えてくれてないんですもん」  恨みがましく言われた。デスクの上に置いてあるコーヒーを少し飲んで答える。 「ごめん、親にすら言ってなかったから」 「秘密主義〜! 藤ヶ谷副社長って家でどんな感じなんですか!? 愛してるよとか言うタイプ?」 「何を突然突っ込んでくるかなこの子は」  私は笑って言った。結構奔放で自由な性格の河野さんは、よく私に懐いてくれていた。私にはない女の子らしさがあって、こちらも憧れてしまうこともある。時々二人でご飯を食べに行ったりと、そこそこ仲良くしている後輩だ。 「ずっと聞きたかったんですよー! 今度ご飯一緒にいきません? 高杉さんから! 惚気が! ほしい!」
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