何かが変わる

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   荷物を持って会社の正面に降りて行った頃、ちょうど巧の車が停まったところだった。私がそこに乗り込むと、彼はすぐに発進させた。無言のままハンドルを握っていた。  何か言葉を発そうとして、けれども言葉が出なかった。送ってくれてありがとう、とか言いたいことは多くあった。仕事で忙しいというのに。でも残念ながら私にそんな余裕はなかった。私たちはずっと沈黙を流したまま、目的地まで車を走らせた。  病室に駆け込んだ時、初めに目に入ったのはもう意識を失っているばあちゃんだった。  その体の隣には以前来た時にはなかった心電図モニターが置かれていた。そこからゆっくりながら音が漏れていて、ばあちゃんがまだ頑張っていることを物語っていた。  すでに私より早く到着していた両親は、目を赤くして私を招き入れた。 「杏奈、よかった間に合って……! ばあちゃん、杏奈が来たよ」  母が私の腕を引っ張って横たわる祖母の隣に連れて行く。私は呆然と、細くなったばあちゃんの傍に移動した。 「ばあちゃん」
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