何かが変わる

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 祖母の葬儀は、家族葬で行われた。  私を送ってくれた巧に、葬儀は参加しなくても大丈夫だと父が言った。一度会っただけだし、巧は仕事で目が回るほど忙しいのだから、無理はしないでくれと。  それでも、巧は「参加させてください」と言い切って参加してくれた。ばあちゃんを亡くして放心状態の私は彼を放置していたけれど、横目に映る巧は凛として振る舞い、ばあちゃんをしっかり見送ってくれた。時々電話で忙しく外へ出ることがあり、ああきっと仕事について色々フォローしているんだろうなと冷静に思った。  ばあちゃんは服を着替え、化粧を施して頬が少しふっくらしたように見えた。  覚悟していたはずの死は、それでもやはり悲しい。ただ、数日前巧と笑いながら話していた笑顔のばあちゃんが最後の思い出でよかったと思った。  結婚して、よかった。私はそう初めて心から思った。  ばあちゃんを騙したような気がして心苦しい時もあったけど、でもやっぱりあんなに喜んでたから。いいニュースを伝えることができてよかったよ。  安らかに、眠ってほしい。
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