すれ違いだす心

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 家に帰りシャワーを浴びて頭を冷やした。お湯を張るだけの気力はなかった。  髪を乾かすのすら適当にして部屋着に着替える。愛用してたあのおにぎりは今日は使えそうになかった。巧に散々馬鹿にされつつも笑われたあれを着るのはなんだか辛い。   「……巧はあれ着てるとこ見たことないな」  まあ、あれ以降ゆっくり顔を合わせていないからというのもあるけど、時々見かける彼の姿はいつもの黒いスウェットだった。そう思い出して苦笑する。  当然だ、本命の女がいるのに、他の女とお揃いの服なんか着るわけがない。何を贈ったんだ私は。今更ながら恥ずかしくて死んでしまいたい。  無人のリビングに入りソファに腰掛けた。ふうと大きなため息を漏らす。  なんでこうなっちゃったんだろう。  そもそも巧が私を結婚相手に選んだのも、私が男に興味ないと思っているからだ。巧を好きになる危険がないからこそ私を選んだのもあるのに、まさかこんなことになるなんて。
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