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「別にご飯行ったとかじゃなくて、タクシー捕まえるまでの間立ち話してただけだよ」
「立ち話もするな、また会社に戻ってタクシー会社に電話すればよかっただろ」
強引な言い方にムッとする。別に二人きりになったわけでもないし、なんでそんな言い方するかな。
私はやや睨みながら巧を見上げる。
「樹くん謝ってくれたよ、この前はからかっただけだって。悪い子じゃないよ。二人きりになったわけでもないし何をそんな怒ってるの」
「この前押し倒されておいてお気楽か」
「だからからかっただけだって」
「やけに庇うな」
「ちゃんと話したらいい子だって分かったの」
「お前は女しか見てないから異性に鈍いんだよ。もっと危機感を持て、馬鹿」
この男の口の悪さは知っていたが、それにしても今日は棘がありすぎる気がした。そして他の女と楽しくホテルに行っていた光景もなぜか目の前に浮かんできて、私はついカッとなった。
そりゃ三次元の男なんてあまり関わってないから鈍いかもしれない。でも、結婚相手の弟と立ち話しただけで馬鹿呼ばわり?
「私別に女が好きなわけじゃないけど?」
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