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もっと罵倒してやりたかったのに言葉が出なくなってしまった私は無言で立ち上がって巧の隣をすり抜けた。背後で私の名を呼ぶ声が聞こえたが無視し、足早にリビングを出ると自室へ入って鍵をかけた。
相変わらずキラキラしたスマイルをした王子たちが私を受け入れたけれど、少し前なら癒してくれたそれらは今はもう飾りにしか思えない。
ふらふらとする頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。
何で、何が、どうして、意味が分からない。
もはや何も考えられなくなった私の目からなぜか涙が溢れた。何で泣いているのか自分でも分からない。
ただ、たとえ好きな人からでも、私のことが好きじゃないのに落とされるキスは虚しいだけなんだと学んだ。
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