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ベッドに倒れ込んだ。この前から思ってたけど樹くんって意外と鋭いし頭が回る! 年下の男の子に振り回されている自分に辟易しながら言った。
「やめてよもう……」
『今どこにいるの? ちょっと会えない? あーもちろん人が沢山いるようなカフェとかでいいから』
「…………」
むくりと起き上がる。ホテルの窓から見える街並みを見渡した。
「ビジネスホテルに泊まってるけど、心配してくれてるなら本当に大丈夫だから」
『下心ないよ?』
ストレートな言い方につい笑う。それ、下心ある時に使うやつ。
「別にそんなこと考えてるわけじゃない。でも、……巧が嫌がるから」
苦笑しながら言った。
結局はね、そこ。あんな最低な男だけど、やっぱり彼を裏切りたくはない。
電話口からため息が聞こえてきた。
『健気だねえ。ねえ巧の何がいいの? 性格悪いじゃん』
「同感だね」
『頭いいけどずる賢さもあるっていうかさ』
「超同感だね」
『はは、同感してるよ』
つられて笑う。樹くんがいうことよーく分かるよ。私だって分からない、オーウェンと比べたら月とスッポンなのにね。
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