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「し、死ぬかと思ったあああ!」
子供みたいに叫んで泣き喚いた。自分の情けない泣き声が部屋中に反響する。
あんな終わり方でもう二度と巧とは会えなくなってしまうのかと思った。ばあちゃんみたいに、突然逝ってしまうのかと思った。
ずっと我慢していた何かが爆発したように涙が止まらない。巧に怒りをぶつけてもしょうがないと分かってはいるのに、私は止まれなかった。
「杏奈……」
「し、死ぬのかって……!」
「杏奈」
「巧が死んじゃうかと思ったのに〜……」
わあわあと泣きじゃくりながらただ巧みを責めた。彼は何も悪くないというのに。
ふと気がつくと、鼻水すら垂らしながら大変に醜い顔で泣き喚く私の前の前に巧が立っていた。彼はいつかのように、着ている服の袖で私の顔をやや乱暴に拭き取った。
「ごめん、心配かけた」
「いひゃい」
「……ごめん、ほんと」
拭き取られて少し視界が見えるようになった私が見上げたところに、巧の顔があった。彼はどこか嬉しそうに微笑んで私のことを見ていた。
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