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でも彼のいうことは最もだった。普通に考えて、巧がそんなばかなことをするはずがない。きっと完璧に手回ししておくはず。
私は小さく頷きながら納得した。
「確かに言われてみればそうだ……じゃああの人はなんの関係もない人なんだ?」
「樹に電話で怒鳴られた時は何かとおもったよ。あいつも俺の性格知ってるのにアホだな」
「ふうん、まあそれは分かったよ。何、私に言いたかったことってそれ? 相手について教えてくれるんじゃないの?」
あの女の人じゃなかった。それは冷静になってみればすぐに納得した。じゃあ、本当の愛人さんは? まさかここまできてなんの情報もくれないってことはないよね。
私は巧の目を見てしっかり見つめた。そんな視線から逃げるように目を逸らしたのはあいつだ。
「いや……」
「別に、どこに住んでるかとか知りたいわけじゃないよ? どんな人なのかぐらい分かっておきたいってだけで、関わったりしようとしないし」
「それは分かってるんだ」
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