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首を傾げながら部屋に足を踏み入れてデスクに近づいていく。一台のノートパソコンが置かれているだけの片付いたデスクだ。
至って普通のデスクだけれど、何が……
「ん?」
近づいてよく見てみると、シンプルなデスクの上に水玉模様が目に入った。それはクリアファイルに入れられて、パソコンの隣に置かれていた。白い背景にピンク色の水玉模様。どこか懐かしさを感じる可愛らしいデザイン。
私は何気なくそれを覗き込んだ。水玉模様の紙はぐしゃぐしゃになった跡が見られる。それを丁寧に伸ばしてファイルに仕舞われている。
ほとんど消えかかっている鉛筆の文字が少しだけ見えた。
『たっくん ひっこし も、元気で てね』……
「 !! 」
はっと息を呑んで両手で口を覆った。全身に鋭い電流が走ったかのような感覚に陥り、そこから一歩も動けなくなった。
待って。
待ってほしい。
この手紙、もしかして……
頭がぐるぐると混乱する。眠っていた記憶を必死に起こそうと考える。
私は知っている、この拙い字を。
でもどうして? どうして……
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