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「おま、それさ、ストレートに聞くかな……」
そう呟いた巧の耳は真っ赤だった。
ようやく彼のいう話の内容を理解し出せていた。
つまりは巧はずっと前から私を知っていてくれた。他に好きな人がいるなんてのも嘘で、大昔に渡した手紙のことをずっと覚えていてくれてた。
それはまさに晴天の霹靂。目の前に雷がおっこちてきたみたいな衝撃。
ずっと私になんて興味がないと思っていた巧がまさか。
理解してきた途端、カッと顔が熱くなって胸が苦しくなった。未だかつて感じたことのない恥ずかしさと嬉しさと困惑が混ざって自分がどうにかなってしまいそう。あなたを好きになったのは無謀なんだって思い込んでたんだから。凄く辛かったんだから。
だって、ねえ。ストレートに聞かせてよ。
「……そうだよ。俺はずっとそうだったんだよ」
苦しそうに小声で言った彼が、酷く愛おしい。
巧はデスクの上のクリアファイルをすぐ下の引き出しに仕舞い込んだ。未だ赤い顔を落ち着かせるように息を吐いて言う。
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